狂った果実

狂った果実 [DVD]唐突かつ衝撃的な終わり方に吃驚した。それ、あり?
太陽の季節」も「狂った果実」も石原裕次郎のイメージが強い。しかし、それと同じくらい長門裕之津川雅彦兄弟の妙な存在感が気になって仕方がない。ありていに言えば、皆、苦手……。俳優の台詞や態度に見え隠れする、人間を生まれや育ちや性別や階層で仕分けするような偏狭な考え方は、きっと原作者*1のアレなんだろうけど、気味が悪かった。
時代の気配、風俗を濃厚に映したもので、それ以上の値打ちがあるのかどうか、私にはよくわからない。かつて太陽族という流行語を生み、この時代特有の熱気を持って受け入れられたようであるが、そのこと自体、どうこう言っても始まらない。大衆を巻き込むだけの何かがこれらの映画や裕次郎にはあったということだろう。好悪はまた別の感情である。
ネットではフランソワ・トリフォー、ヌーベルヴァーグなどの言葉とともに少なからぬ人たちが賛辞を呈している。そういう評価もあるということを紹介しておく。中平康監督。1956年。