河内長野のお宝拝見

morio01012010-04-17

一年にたった二日間*1だけしか見せてもらえない仏様が大阪にある。河内長野市にある観心寺*2の本尊、如意輪観音菩薩像である。今年は幸運にも両日が土日となり、これを逃せばまたしばらくは見に行けなくなる。これのために東京から無理やり帰ってきたのだった。
大宝元年(701年)に雲心寺として開かれた寺は、平安時代のはじめに空海によって北斗七星が境内に勧請され、そののち本尊が刻まれて、観心寺と改称されたという。空海はこの後高野山に入定するんですね。国宝の本尊、金堂(大阪府最古の国宝建造物)を持つ山岳寺院として今に至る。
さて、通り一遍の説明はおくことにして、その如意輪観音である。金堂に足を踏み入れると、薄暗い内陣の奥に六臂の肉感溢れる本尊が目に飛び込んでくる。はっと息を呑むくらい美しい。これがもう年増のバーのマダムのような貫禄があって、なんとも色っぽいのである。秘仏ゆえ保存状態がよく、往時の色彩も鮮やかに残っている。独特のオーラが漂っていて、見ているとゾクゾクするような艶めかしさがある。たまらん*3。いつまでも見ていたいと思う。
そして如意輪観音の前でありがたい説法を聴く。正座して。20分後、立てなくなった。嗚呼。観音様の真ん前で「早く、話、終われ」とか念じていた私はきっと罰が当たる。
足の痺れを癒してから、拝観者用のシャトルバス*4に乗って、天野山金剛寺*5へ向かう。「女人高野」として知られる古刹である。こちらでも本尊の大日如来坐像(平安、重文)が特別公開されている。脇士の不動明王降三世明王と合わせて三体、すべて運慶作と伝えられるものである。確かに若き日の運慶が造った円成寺大日如来(平安、国宝)と姿形がよく似ている。そしてかっこいい。何かをやっちゃってくれそうなかっこよさがある。
ここでは足が痺れないように用心深く座って、お坊さんの話を聴いた。なんでも6月から保存修理作業が始まるため、次に拝することができるのは7年以上先のことらしい。よいものを見せていただけた。
帰りは心斎橋のアップルストアでちょっとだけ散財する。ミナミのあたりを散策するのは久しぶりで楽しかった。