中之島で束芋

morio01012010-08-03

国立国際美術館で開催中の束芋の展覧会「断面の世代*1」を観てきた。兵庫県出身の彼女にとって7年ぶりの関西での個展である。
5つのインスタレーション(アニメ)と新聞小説の挿絵の六つのコーナーからなる。一見なんだかよくわからない。

今回の個展タイトルでもある「断面の世代」とは、「団塊の世代」に対比させて、束芋自身が自らの世代を呼称するために創案した言葉です。束芋は70年代生まれの世代は個を尊重する存在であり、その個を断面として捉えた時に二次元の断面を集積していくことで出来上がる三次元世界により新たな世界が見えてくるのではないか、と考えています。その視線は、初期の作品で見せた外から内へ、社会から個へという行方から、内そして個から外へと往還させながら展開しているといえるでしょう。(公式サイトより)

読んでもよくわからない(苦笑)。
もちろん何もないより解釈の手がかりにはなる。たとえば「団地層」「団断」の二つのインスタレーションでモチーフとなるのは団地である。没個性的な集合性とその内部に構築された個あるいは個性との対比が鮮やかに形象化されている。同じ括りの中にありながらまったく存在しない相互の関係性、矮小化された個性の没交渉的集合体、団地はそれらの象徴的な喩として提示されているとおぼしい。
こういうことを勝手に考えたり想像したりするのが現代美術に接する醍醐味だろう。入館者は女性がだんぜん多かった。
別のフロアで同時開催しているのは、横尾忠則の全ポスター展*2である。ちなみに横尾の入場券で束芋が無料で観られる。どっちがなんて言わない。ただ過去の集大成と現在から未来を睨むものでは、心の響く場所がまるで違うのは確かだ。