奈良の至宝

morio01012010-09-23

奈良国立博物館*1で開催中の二つの特別展では、いずれもこの旧都に残る珠玉の仏像を拝むことができる。
今夏、旧帝国奈良博物館本館(重要文化財)はなら仏像館と名称を改め生まれ変わった。その開館記念展「至宝の仏像*2」は、奈良博所蔵あるいは寄託されている仏像のうち、飛鳥時代から鎌倉時代にかけて制作されたものを展示する。全体の八割は国宝、重文の指定を受けている仏像である。さらに修理のために東大寺法華堂から金剛力士像までもが出陳されている。どこもかしこも緊迫感がものすごい。
元興寺のスタイル抜群薬師如来立像やおっさん臭い東大寺弥勒仏坐像、来月東京にお目見えする東大寺の誕生釈迦仏立像、鮮やかな色彩の残る浄瑠璃寺馬頭観音像など、それだけでご飯三杯は軽くいける。色彩といえば、海住山寺の四天王立像もすばらしかった。
信仰の対象である仏像は、寺内で祈りを捧げながら拝するのが本来の形であろう。しかし、美しき文化財としてこれらに静かに向き合うこともまた、私たちの心の平安をもたらす行為として大いに意義あることであると思う。
東新館で開かれているもう一つの「仏像修理100年*3」特別展では、明治以降の仏像の保存修理にまつわる歴史をふりかえる。修理方法はもとより設計図、材料、道具など、普段うかがい知れないようなところまで踏み込んだ内容になっていた。平等院から大好きな雲中供養菩薩南14号が出張してきている。三十三間堂の千手観音も。模造でいいから阿修羅か百済観音を自分のものにしたいぞ。
いずれも26日まで。