伊豆の踊子(1963)

伊豆の踊子 [DVD]1963年に公開された吉永小百合の踊子。本作の西河克己監督が1974年に山口百恵で再映画化していることは、あとから知った。山口百恵が演じた映画は公開当時映画館で観た。肌色ボディスーツで温泉シーンが撮影されたことしか覚えていないけど……。お子様にはそれでも十分刺激的でした。
さて、1963年の踊子であるが、驚くほど吉永の印象が薄い。「いたの?」というくらいさらっとしてしまっている。そもそも映っている時間そのものがずいぶん短いのではないか。かわりに浪花千栄子南田洋子、十朱幸代らの存在感が強烈である。他には男性陣で浜田光夫、ついでに主演の高橋英樹。とにかく吉永の周囲にいる俳優が曲者ばかりで、すっかり喰われてしまっている。いや、もともとそういう立ち位置の人ではなかろうか。毒にも薬にもならぬ、小綺麗な徒花。
物語は時に任侠映画のような立ち回りも入りつつ、「川端ってこんなことを書いていたのかな?」と混乱させられるような場面もあった。無性に原作を読み返したくなる*1映画だった。

*1:これでいいのかという意味で