ケンナの黄山

morio01012011-02-02

マイケル・ケンナの新作写真集が届いた。中国の安徽省にある黄山(Huangshan)を撮影したものである。ここは中国の文人や画家をして多くの作品を生み出させている、いわば中国芸術の聖地のような場所である。ケンナは三年の時間をかけて、この絶景をカメラに収めたという。
 公式サイト http://www.michaelkenna.net/gallery.php?id=8
切り立った断崖絶壁を持つ高峰とそれを取り巻くように揺蕩う霧や雲、霞。長時間露光で絡め取られた奇景はまさに悠久の時間をも封じ込めたような趣で、ただただ畏怖すべき美しさがある。水墨画とはまったく違う、白と黒だけで作り上げる豊かな階調が目を洗う。白黒のコントラストの強さを包み込む乳白色の柔らかさが格別である。眼福とはまさにこのことだろう。
ケンナのヴェネチアの写真集とともに深く愛する一冊となるはずである。