カケラ

不機嫌な満島ひかりを堪能できる。ブスーっとしたさえない表情がとてもいい。人を不快な気分にさせないで、逆に感心させるような不機嫌な表情のできる俳優は、そんなにはいない。最初から最後まで満島の表情を眺めているだけで楽しめる。
　　公式サイト　http://love-kakera.jp/index.html
女性同士の淡い恋愛感情を描く桜沢エリカの「ラブ・ヴァイブス」を原作とする。しかし、映画では二人の女性の関係性のみを設定として引き継ぐだけで、ひとつの物語として再構築されている。特にタイトルが「カケラ」としたところに、監督（安藤モモ子）の意図するものがあるのだろう。欠けた部分に何を埋めるのか、あるいはバラバラになったピースをどう組み合わせるのか、こうした行間をあれこれ考えさせるものになっている。決して親切な映画ではない。結末もどうなっているかはよくわからないまま投げ出されている。時々まじる「ちょっとエッチなシーン*1」にドキドキしながら、その空白の意味に想像を逞しくするおもしろさがあった。満島と共演する中村映里子もよかった。
「カケラ」を見ながら、同じく女性二人が活躍する「花とアリス」を思い出していた。まったく性格の違う２本の映画ではあるけれど、ともに何度も観てみたい魅力に満ちあふれている。

*1:満島と同年代の蒼井優にはさせられないだろうね