三軒茶屋の映画館

小さな映画館が次々と畳まれる中にあって、三軒茶屋には昔ながらの古い劇場が二つ残っている。一つは三軒茶屋シネマ*1、もうひとつが三軒茶屋中央劇場*2である。両館ともブログはおろかホームページすら持っていない。実際に足を運ぶと、さもありなんという風情である。昭和も昭和、三〇年代か四〇年代という趣がある。いずれも半年から一年前の公開作品を二本立てで上映している。
今日は中央劇場を初めて訪れた。外も古風なら中も、いや、中はもっと古風である。待合に置かれている赤いビニール張りのソファーや薄暗い通路にわくわくさせられる。やや丸みを帯びた高い天井、中二階のバルコニー、座面の硬いチープな座席、どれもこれも醸し出す雰囲気がたまらない。ここでは映画と言うよりシネマ、あるいはキネマと格好をつけて呼びたくなる。呼ばないけど。
今週は見逃していた「川の底からこんにちは*3」がかかるとあって*4、何が何でも行こうと張り切っていた。しゃらくさい観客入れ替えなどはなく、いたければ一日中でもいられる。そうだよなぁ、シネコン以前はこうだったなぁと、しばし感慨深く浸る。映画にも劇場にもおおいに満足した。閉館の憂き目を見ぬよう、ひそやかに応援したい。
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