畠山と長島のはしご

morio01012011-10-29

よい天気。自転車に乗るか、芸術の秋と洒落込むか。ぐずぐずしているうちに日が傾く時間になってしまい、必然的に芸術の秋コースとなる。
東京都写真美術館*1で開催中の畠山直哉展は、「自然と人間との関わりを改めて俯瞰するような作品*2」を中心に構成している。意外にも首都圏の美術館での個展は初めてだという。畠山と言えば、木村伊兵衛写真賞を受賞した『LIME WORKS』(1996年)に収録されているような、鉱物資源に関わる鉱山や工場の作品群がよく知られるが、今回の個展でもそれらをまとめて観ることができる。
広尾*3の1223現代絵画*4では、長島有里枝の個展「 What I was supposed to see and what I saw*5」を観る。昨夏に刊行された『SWISS』に収められていた花や植物の写真が中心となる。いずれも過去の長島の作品−猥雑さと直接的表現−とは異なる気配、トーンが印象深い。
両者の写真に表面的な共通点は少ない。しかし、目に映る現実の意味を問いただそうとする透徹した視線からは、ともに極めて思索的なものを感じる。その思慮深い姿勢から生み出される一幅の絵には、期せずして深々とした美しさが立ち上ってくる。その香気を存分に楽しんだ。

*1:http://www.syabi.com/index.shtml

*2:この個展の惹句

*3:広尾は初めて。住みやすそうな街だと思った。

*4:http://www.gendaikaiga.com/index.html

*5:http://www.gendaikaiga.com/20110922/index.html