草間の水玉に酔う

morio01012012-02-08

国立国際美術館(大阪・中之島)で開催中の「草間彌生 永遠の永遠の永遠」を見てきた。御年80を越える草間であるが、これまでの活動を回顧するものではなく、2009年以降の新しいシリーズ「わが永遠の魂」をメインに据える意欲的な展覧会である。これに2004年から制作を続けているモノクロの「愛はとこしえ」の連作が合わされ、およそ00年代に制作された作品群が次々に迫り来る。
草間といえば、ミニマルな水玉の果てしない繰り返しのリズムが印象的である。新作群でも草間独特のリズム感は健在で、その勢いはいや増すばかりである。そこにこれもおなじみのモチーフである横顔や目玉、波線、網目が配され、草間以外にはあり得ない文様が構築されている。
そうした特徴的な描画は、草間の幻視幻聴体験から来ていることはよく知られているけれど、老いてなお盛んな創作活動において、忌避するどころか、それこそが私自身であるとばかりに、徹底的に描き込まれているのである。大量の水玉の作品はもちろん部屋全体が水玉に覆われたインスタレーションなどに、鑑賞者は完全に翻弄され虜にされる。水玉に酔う。
若い人がたいへん多い。月並みな言い方になるが、草間の心の声に敏感に反応するのは、美術(あるいは権威)に対して先入観や固定観念を持たない世代であるということだろう。今、見ておくべき展覧会であると思う。大阪の次は埼玉、松本、新潟と巡回する。
 公式サイト http://www.asahi.com/kusama/