山本容子『犬は神様』

morio01012006-12-31

大掃除や片付けなどをしながら普段はかまってやれない猫の相手をしていると、「ちゃんと掃除をしなさい」と娘に叱られる父親。大晦日のとある風景。
猫との生活を描いた本では町田康の『猫にかまけて』(講談社)が断然素晴らしいと思っているのだけれど*1、今日読んだ山本容子の『犬は神様』も、それに匹敵するくらいの良書であった。

銅版画家である私は、版画の性質上、ものごとを反転させて考えることがしばしばある。あるとき、犬(DOG)を反転させると神(GOD)になることに気づいた。そう、犬は神様なのだ。

偏愛や溺愛ではなく敬意と心遣いをもって動物と付き合う。そのスタンスと行動と滲み出る愛情に大きく心が揺さぶられた。山本の描いた美しい銅版画も多数掲載されている。湿度の高すぎない文章とともに、版画に刻み込まれた一筆一筆に犬たちへの慈愛の深さが感じられた。
犬は神様 猫にかまけて

皆様、どうぞよいお年をお迎えください。