当世風フィガロ

五月の陽光が清々しい。少し強い風がいろいろなものを吹き払って、風景の輪郭がきりりとして見える。自転車に乗ったり、ピンホール写真を撮ったりするのにいいだろうなぁなどと夢想しながら、渋谷にある同業他社の大きな部屋で小難しい話を聴いていた。
この種の会合で時間が押すのは常のこと、終わってから「パッチギ! LOVE&PEACE」(@アミューズCQN)を観ようと思っていたのに、タッチの差で間に合わなかった。気を取り直して、タワーレコードに向かう。いつも憂鬱な気分にさせられる渋谷が、今日はすごく気持ちのいい街に見えた。やっぱりこの晴れ方はいつもと違う。
Le nozze di Figaro (Mozart 22, Salzburger Festspiele 2006) [DVD] [Import]6階のクラシック売り場に、昨年のザルツブルグ音楽祭での「フィガロの結婚Le nozze di Figaro (Mozart 22, Salzburger Festspiele 2006) [DVD] [Import]」(アーノンクール指揮・ウィーンフィル)のDVDとCDが並べられていた。18世紀の歌劇を現代劇としてシュールに読み替え、大胆過激な演出が賛否両論を巻き起こした話題のオペラである。ダルカンジェロフィガロ)、ネトレプコ(スザンナ)、シェーファー(ケルビーノ)をはじめとして、配役も生きのいいところがうちそろっている。音質のよいCDにも心惹かれたけれど、ここは総合芸術として楽しむためにDVDをものすことにする。なんといっても旬のネトレプコ*1の美貌と美声を楽しまない手はないだろう*2。他にもう1枚、カルロス・クライバーオッフェンバックを振った珍しいライブ盤を。
夜はテレビ東京系の「みゅーじん」を見た。上原ひろみを特集する。自ら「ピアノと合体する女」なんて言いながら、いつものようにアグレッシブに演奏する。タワーレコード@渋谷(今日行ったところ)とブルーノート@ニューヨーク*3でのライブを見ることができた。プライベートでのチャーミングな姿にもぐっと来た。あの旺盛な食欲を見るにつけ、上原の生きる力の強大さを思わずにはいられない。