動物が出てくる

あべ弘士ART BOX 動物たちあべ弘士ART BOX 動物たち』(2007年、講談社)などという本が出ていたのを知らなかった。近所の本屋の棚で見つけた。あべは言わずとしれた旭山動物園の元飼育係である。そのあべの初めての動物画集とあっては、見過ごすわけにはいかない。力んだり息巻いたりするほどではないかもしれないけど。
さまざまな絵本や著作物、ポスターから乗り物、看板のデザインや各種のグッズまで、彼が関わった動物ものが集成されている。もちろんあのスイーツ*1もある。月並みな言い方しかできなくてじれったくなるが、一筆一筆に動物への愛情が滲み出ているとしか言いようがない。それもとことん深いもの。中に収められる旭山動物園園長の小菅正夫の言がよい。小菅で思い出した。小菅と副園長の坂東元、そしてあべの三人は妙に仲がよすぎるような気がするのだが、気がするだけでとどめておこうと思う。我ながらどうでもいい話だと呆れる。
島本理生大きな熊が来る前に、おやすみ。』(2007年、新潮社)も読了する。あとがきによれば、統一されたモチーフで編んだ短編集を書きたかったという。ここでは動物(熊・鰐・猫)がそれに当たる。思うにまかせぬ若く青い恋愛*2とそれぞれの動物のありようがうまく噛み合っている。島本のこれまでの長編同様、劇的なドラマなどないものの、コンパクトにまとめきろうとするあまり、なんとなく座りのよい結末を用意しているように見えるところは物足りなく思った。
仕事机の椅子を占領して、梃子でも動かない構えを見せる愛猫。仕方がないのでこちらが床に座り込んで、本を読んだり、ファイナルファンタジーをしたりする。
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*1:みんなの白くまシュー http://www.ho-umeya.co.jp/zoo/zoo-1.html

*2:書いていてちょっと恥ずかしい