雨の渋谷へ

morio01012007-07-10

今年度上半期の主要な仕事はほぼ終わりを迎えようとしている。いつもの火曜日より少しだけ遅い時間に世田谷方面に向かう。小田急の車内は乾ききっていない洗濯物のような臭いが充満していた。午前中に一つノルマをこなし、午後からは顧客の代表を30人ほど集めて、秋の大きな催事の打ち合わせをする。
夕方の早い時間に渋谷に出た。シネマライズで先週末から公開している「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ*1」を観る。本谷有希子の原作が好みに合っていたし、主演の佐藤江梨子も嫌いじゃないので、公開を楽しみにしていたものだ。感想は後日。シネマライズの2階席に初めて座ったけれど、なかなか安楽に映画を楽しむことができてよかった。
映画終了後、小雨がぱらつく渋谷を少し歩き回る。雨模様でもあいかわらず人は多い。過剰、過多、過激など、あらゆる「過」が寄せ集められたような街を泳ぐのは、私のような旧世代の人間には辛いものがある。これでも昔は「新人類*2」などと言われていたのに。まぁ悪あがきはしまい。
HMVの最上階にある青山ブックセンターで写真集や美術書などを見て回る。「美術手帖」の7月号の特集「写真家になる基礎知識」というのに、野口里佳蜷川実花梅佳代らのインタビューが載っているので買う。それからもう一冊変なのを見つけた。梅佳代うめ版 新明解国語辞典×梅佳代』(三省堂)。あの唯我独尊的な語釈を持つ辞書として名高い『新明解国語辞典』と梅佳代の写真が組み合わさっているのだ。これは変! たとえば「ふつふつ*3」という言葉の横に、なんだか全身にまとわりつくような気味の悪い視線を送ってくる若い女性のアップが添えられる。「習慣」ということばには、新幹線の座席テーブルにミカンを四つ綺麗に並べたのが置かれる。「器用」にはサッカーのユニフォームを着て野球をする少年などなど。梅佳代の写真はそれだけで饒舌なところがあるので、『新明解』のことばがつくことでちょっと説明的になりすぎる嫌いはあるが、おもしろいことに変わりはない。他にも何冊か。雨の中重い袋を下げて町田まで帰ってきた。

*1:http://www.funuke.com/index.html

*2:死語!

*3:ある種の感情・意志などが心の中に抑えがたいまでに激しくわき上がる様子