脱力

  犬をかかえたわが肌には毛が無い
それはまぁそうだろう。
  なんにもたべるものがない冬の茶店の客となる
たまに「なんにもたべるものがないまずい店の客となる」ことがあるのだが、風流さにおいて歴然とした差がある。
  蛙が手足を張り切て死んでゐる
嫌な死に方だなぁ。
[rakuten:book:12095628:image]『尾崎放哉句集』(岩波文庫)を購う。この人は「とんぼの尾をつまみそこねた」り、「たもとになんにもはいって居ない」ような人であるが、山頭火の洒脱ぶり*1とはまた違った味わいがあって愉快である。
放哉と一緒にどどどと来たもの。荻野貞樹『旧漢字』(文春新書)、内田百輭『恋日記』(中公文庫)、ル・コルビュジェ『伽藍が白かったとき』(岩波文庫)、角田光代『太陽と毒ぐも*2』(文春文庫)、『日本語の歴史5』(平凡社ライブラリー)、小野俊太郎モスラの精神史』(講談社現代新書)、藤井省三村上春樹のなかの中国』(朝日選書)、松井今朝子『吉原手引草』(幻冬舎)、竹林一志『「を」「に」の謎を解く』(笠間書院)。
内田百輭が初恋の女性のことを思い綴った日記、熱い恋情がほとばしって、暑苦しいかも。

*1:トンボを見る度に「すっぱだかへとんぼとまろうとするか」「朝からはだかでとんぼがとまる」が頭に浮かんで、なんだか困ってしまう。普通はあんまり裸にトンボを止まらせたりしないだろ……。

*2:つい出来心で