針穴写真の表装とBABEL

HVARF-HEIM~消えた都HMVの店頭で見かけて吸い寄せられた。Sigur Ros*1の新作アルバムのジャケットはまちがいなく針穴写真であろう*2。しかも自分が最も心惹かれる「一瞬でありながら永遠でもある」というアンビバレントな図柄である。形ばかりの試聴をし、迷いなく手にする。この写真を手に入れるために。
三つの物語が並行する「BABEL」、バラバラのピースが一枚の写真で一挙につながったところから、俄然物語が展開し始める。表題の「バベル」が「バベルの塔」に由来し、ディスコミュニケーションを意味しているのは周知のことであろう。善意も悪意も戯心も思惑も欲望も、すべては言葉の壁の前には無力であった。しかし、一方では言葉ではない部分で世界は確実につながっているという皮肉*3。映画の結末を迎えてなお、そのことだけが強く屹立しているのに愕然とする。楽しめた。
公式サイト http://babel.gyao.jp/

*1:公式サイト http://www.sigur-ros.co.uk/

*2:購入後に開封すると、内側には半透明になった人物が写る針穴写真が配されていた

*3:不幸の連鎖とも