安藤裕子を近代建築で聴く
「あんどうゆうこが好き」だと言うと、けっこうな確率で「え、あのフジのアナウンサーが好きなのか」と返されてシュンとする。ま、知名度ではそっちだろうけどねと思いながら、まったくの別人であることを投げやりな気分で説明する。
さてその安藤裕子のライブに行ってきた。今回はピアノとギターのみのアコースティック・ライブである。しかも会場は大阪を代表する近代建築である中央公会堂とくれば、期待感はいや増すばかり*1。以前聴きに行った2回のライブ*2はどちらもオール・スタンディングのライブハウスで、心身ともに衰えの来ているオッサンにはたいへん厳しいものだった。音楽を楽しむどころの騒ぎではない。そもそも安藤裕子の曲自体が「立ってノリノリ」じゃないのに、なんでこんな苦行のようなことを強いられるのかと最後は腹を立てていた。それが今日は実にゆったりと歌に浸ることができ、満足度はこれまでの中で最高である。
由緒正しき大正建築の重厚なホールを満たすように響き渡る歌声。開演からアンコールまでひたすらうっとりと聴き入っていた。安藤裕子は日によって好不調の波が激しいらしく、前回のライブ@Zepp Tokyoは誰の目にも体調不良が明らかで、歌えば歌うほどシラケていくという悲惨なものであった。しかし、今日はまったくそういうことはなかった。こうしたホールできちんと座ってじっくり歌に聴き入るというスタイルが、この人にはふさわしいと思う。個人的には今後もすべてこういう小編成でもいいのではないかと思うくらいである。大好きなファーストとセカンドからの選曲が多かったことも嬉しかった。
夏にはまた全国ツアーがあるという。行きたいと脊髄反射的に反応したが、またしてもなんばHatchとかShibuya AXとかだって。最低。
明日は東京に戻る。雪で新幹線が遅れたりしたらちょっと、いや、かなり困る。
以下は今日のセットリスト(うろ覚え!)である。ネタばれになるので、嫌な方は回避してください。
安藤裕子 2008 Acoustic Live (大阪市中央公会堂)
本編
- サリー
- 海原の月
- ドラマチックレコード
- 煙はいつもの席で吐く
- Lost child
- life
- チーム・アンディの唄
- 新曲(あの人がいて幸せだなぁという歌)
- 蒔かれた種について
- のうぜんかつら
- 陽のかげる丘(新垣結衣に提供した歌)
- 新曲(遠藤周作を読んでできた曲)
- 隣人に光が差すとき
- The Stiil Steel Down
アンコール
- 新曲
- TEXAS
*1:今回のツアー公演は4カ所であるが、いずれもアコースティックな音が似合う趣のある場所で行われている。めぐろパーシモンホール(東京)・大阪市中央公会堂(大阪)・活水女子大学大チャペル(長崎)・時計台ホール(札幌)