二つの歓喜の歌
2004年12月の「志の輔らくご」で演じられた「歓喜の歌」については以前書いた*1。その後もこのDVDを何度も楽しんでいるわけであるが、「歓喜の歌」は2007年1月のパルコ劇場での公演もDVDになっている*2。「同じものの別バージョン」が気になる年頃としては*3、やはりこの新しい方も聴いてみたい。で、手元に。
枕は04年版の音楽話からコミュニケーション不全ものに変わっている。でもちょっとわかりにくい。客席の反応もいまひとつで、志の輔自身が「ちゃんと聴いていますか」というメタ言語的なツッコミでなんとか笑いを取っている。そういうことだから、本題への入り方も少々ぎこちない感じになってしまっている。そして肝心の「歓喜の歌」、これがどうにも雑なのだ。抑揚や調子、速度、切り替えにメリハリがなく、すぅーっと最後までそつなく流れてしまうという印象を受けた。話し過ぎたがゆえの慣れがそうさせたのだろうか、語りそのものが丁寧さに欠ける感じがして*4、至る所に仕掛けてあったはずの「感情のフック」に引っかかることがない。なんだか愛が感じられなくて寂しい。
もちろん細かな部分で「改良」を施していて、話自体の完成度を高めようとしているのはよくわかる*5。でも演じる人のテンションやコンディション(あえてこう言っておこう)こそが何よりも重要であることを、あらためて知らされるのである。
「メルシーひな祭り」と「ガラガラ」についてはまた別の日に。