おそらく鶴川最後の日

morio01012008-02-28

鶴川の職場自室の荷造りに赴く。顧客二人に手伝いを頼んでおいたので、三時間ほどですべての荷物を箱詰めすることができた。この部屋に入ってまだそんなに時間が経っていないこともあって、荷物の選別をするほど散らかっていないのが助かった。これが一から整理しながらなんてことになると、とうてい一日や二日ではすまなかったであろう。
思えば、三年前の四月に東京にやって来た時には右も左もわからなくて*1、この部屋に持ち込んだ本の背表紙だけが唯一の見慣れた風景だった。雑事に紛れ、怠惰に負け、この部屋でたいした仕事はできなかったけれど、やはりそれなりの感傷に浸るくらいの愛着はある。うず高く積み上げられたダンボールの山を見ながら、しばしここで過ごした三年間を思ってみた。
強烈なオレンジ色の夕焼けに見送られて、鶴川駅行きのバスの人になる。駅近くのラーメン屋で夕食にする。スタンプがいっぱいになったカードで只飯を喰らった。これでもう鶴川に行くことはない。アディオ〜ス!
行き帰りの小田急ではひたすらきくち正太の『おせん』を読む。独特の絵になじむまでは少しきつい感じがしたものの、すぐに慣れて物語に入り込めた。この先、説教臭くなったり蘊蓄三昧にならないことを祈りつつ、続きを古本屋*2で買い求めた。
bk1からも本が届く。町田康フォトグラフール』(講談社)、田村紀雄海外の日本語メディア―変わりゆく日本町と日系人』(世界思想社)、『荒川ぐんぐん自転車旅マップ - 自然いっぱいの源流から東京湾目指して全長173km、楽しい自転車旅が始まる (自転車生活ブックス 8)』(ロコモーションパグリッシング)、阿辻哲次『漢字を楽しむ』(講談社現代新書)、北原保雄KY式日本語』(大修館書店)、島本理生ナラタージュ』(角川文庫)、マルジャン・サトラビ『ペルセポリス』1・2(バジリコ)。荒川の自転車本は多摩川のもあるみたいだ。次はこれも。島本理生のは単行本を持っているのに、つい文庫本まで買ってしまった。おそらくこれまでの島本の作品では最良の一作である。『ペルセポリス』は映画そっくり。当たり前か。

*1:今でもそうだけど

*2:ブックオフじゃない古本屋が近所にある。ブックオフもある