はじめての武道館
Chick & Hiromi live in Budokan "Duet"
- Very Early
- Summer Time
- Children's Song No.12 (DoMo)
- Place To Be
- Humpty Dumpty
- Fool on The Hill
- Old Castle, by the river, in the middle of the forest
- Bolivar Blues -Encore-
- Spain -Encore-
昨日、井上康生が負けて泣き、石井慧が勝って泣いた武道館で、今日は私が泣いた。
チック・コリアと上原ひろみの共演は、昨秋のブルーノート東京以来のことである。その時の演奏はすでにCDとしてリリースもされており、なぜ今になって武道館でやるのかとの思いはあるものの、やはりこれはイベントとして見逃すことはできないと色めき立ち、チケットに大枚をはたくのであった。
初めての武道館体験にして最前列なのである*1。場所はステージに向かって右寄りで、ちょうど上原の斜め後方にあたる。おかげで演奏中の暴れる上原を堪能できた。3曲ほどピアノの位置を入れ替わったので、チックの幅広肉厚な背中も拝むことができた。また巨大なスクリーンが左右に設置されており、二人の表情のアップやすさまじい指の動きなどもしっかり映し出されていた*2。
演奏した曲はブルーノートでのライブと変わらないものの、変幻自在なインプロビゼーションのために、曲の印象は大きく違っていた。音も思っていたよりはずっとまともである。しかし、会場全体を巻き込むような熱いうねりまでは残念ながら感じられなかった*3。荷が重いとか器量云々の話ではなく、二人の作り出す繊細で親密な音楽には、ブルーノートくらいの空間が似つかわしいのではないかと思うのである。今日のところは、一緒に楽しむというより、鑑賞させていただくという雰囲気があったとでも言えばいいだろうか。
それでもこの二人の存在と共演自体に胸を躍らせて、驚異的なテクニックや甘美なメロディにひとり静かに興奮していたのは確かである。次があるのなら、もちろん馳せ参じる。