森山大道展@写美

横殴りの暴風雨の中を出勤する。わずか徒歩5分とはいえ、びしょ濡れである。用意しておいた衣服に着替え、出番を迎える。顧客はいつもの半分以下だ。この天気だし仕方がないかと思い、無駄話やヲタ話を織り交ぜつつ、のらりくらりと最初の一つを片付けた。自室に戻る途中で同僚に会う。
  警報が出ているから「全日業務中止*1」ですね。
ぎゃ。そうだったのか。大雨はわかりきっていたから、天気予報を確認していなかった。まさかそういうことになっていたとは……。しかし、ものは考えようである。とりあえず今日の通常業務からは解放された。手早くやるべきことだけを片付けて、2時過ぎに退出とあいなる。
恵比寿の東京都写真美術館で開催中の森山大道展に行く。今回は過去の主要作品を辿る回顧展と最新作の「ハワイ」展の二本立てである。写真そのものを楽しむきっかけを与えてくれた作家だけに、これまではどの作品も「すごいすごい」と手放しで悦んでいたわけであるが、近作の『ブエノスアイレス』と『ハワイ』は、まず企画ありきのように思えて、正直なところ、あまり好きではなかった。そのあたりの微妙な心持ちを抱えての、久しぶりの森山生写真である。
第1部の回顧展は二百点を超える代表作が居並ぶ。さすがにすごい迫力である。荒々しい若いアレ・ブレ・ボケは、年を経て洗練されてもやっぱりアレ・ブレ・ボケなのだ。風景を白と黒の光の点に分解した点描のごとき写真群。プリントの上を粒子が踊る。もうこれだけでも見る価値と来た意味があると思った。第2部の「ハワイ」展は写真集よりもずっと楽しめた。実物の生々しさの持つ力は絶大である。他に森山の活動をテレビカメラが掬い取った映像作品も見応えがあった。平日の午後であるのにも関わらず、会場内はけっこうなにぎわいを見せていた。まずは森山の仕事の全体像を掴むのには手堅くまとめられていると言えよう。
chronicle.(DVD付)Transformationベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番&シベリウス:交響曲第5番渋谷に戻り、HMVで買い物をする。今日発売になった安藤裕子の新譜「クロニクル」、カラヤンとグールドが共演する「ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第3番」、気鋭の女性ジャズ・ベーシストTal Wilkenfeldのデビュー・アルバム「transformation」の三枚をものす。さらにABC Martで職場用のサンダル*2を買い込んでから、噂の映画「靖国*3」を見るべく、シネ・アミューズを目指した。その話はまた後日。
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*1:リアルな私をご存じの方は適切な用語に読み替えてください

*2:エスカレーターと相性がよすぎるアレは、私が履くと便所スリッパにしか見えない。で、プーマのにした。

*3:靖国」公式サイト http://www.yasukuni-movie.com/