職務を果たすがいまいち

いよいよ催事本番の日を迎える。このためにベネチアまで来たのだから、しっかりとやるしかないと思いながら、ちゃんとこちらの人に通じるのかという不安もよぎる。会場は日本の江戸時代の頃のものと言うから、優に築200年〜300年ほどは経っているのであろう。もともとはダンスホールであったらしい。天井いっぱいにフレスコ画が広がり、巨大なシャンデリアが二つ吊り下げられている。なんともゴージャスであり、日本ではなかなかお目にかかれないようなものである。

プレゼンテーションのようなものをする人は、日本語あり、英語あり、もちろんイタリア語ありで、実に国際色豊かである。ただし発表内容のレベルということを考えると、いまひとつのものが多かったように思う。もちろん私のものも含めてである。私のものは聴衆のことを考え過ぎて、難解かと思われる部分を省いてしまったため、性急に結論を急ぐ単なるアジテーションのようなつまらないものになってしまった。駄目駄目である。翌日のを合わせても、聴けてよかったと感心したのは、せいぜい二つか三つであった。日本とイタリアで共同開催したという事実は残ったけれど、実質的な成果には乏しい結果になってしまって少々寂しい感じがした。
夜は懇親会がある。それなりに有名らしいレストランでイカスミのパスタやヒラメのなんかしたやつなどをいただいた。席が近くになったローマの人の話がとても楽しかった。ローマvsミラノは東京vs大阪よりずっと激しい対抗意識があるとか、日本でちょい悪オヤジで売ってるあの人はイタリアの恥だとか、まぁそんな話。昼間の苦い気分が少しだけ救われた。
　
　
素敵な夕焼けが出ていたけれど、もちろん針穴写真などは撮れない。職務中です。