文字の力

morio01012008-11-03

京都文化博物館*1で開催中の石川九楊源氏物語書巻五十五帖展*2」、結局行く機会を得ないまま、見送るしかなさそうである。残念に思っていたら、図録代わりの書『石川九楊 源氏物語書巻 五十五帖』(求龍堂)が刊行されているのを見つけた。嬉々としてレジに運ぶ。
文字の表現性を現代アートに昇華させたものとして、石川の「源氏書巻」は紛れもなく最先端のタイポグラフィの成果とみなすことができるだろう。源氏物語の一節を引きながら、「一帖一帖、姿を変えつつ展開する物語として各帖の表現に取り組んだ」とするこれらの五十五の作品群は、一つとして同じ相貌を見せることがない。マクロな視点から白と黒の文様図像として愛で、ついでミクロな視点で描かれている文字(=物語)を楽しむ。
見れば見るほど、現物が見たくなってくる。
なおタイポグラフィで思い出したが、先週、iPhone用のアプリで「For All Seasons*3」というものがリリースされた。Tokyo TDC Exhibition 2005のグランプリ受賞作品*4を移植したという。四季をモチーフにした文字を使ったインタラクティブな作品であり、いつまでも心を無にして見続けてしまう。心が無っていうところがポイントであるが、単にぼんやりしているだけとも……。