森山大道をはしごする

自転車仲間に房総方面にツーリングに行こうと誘われていた週末、早くから会議が確定していたので、恨めしく見送ったのだった。午前中に切り抜ける。少し冷え込んでいるものの、まさに自転車日和なので、午後からtikitで繰り出すことにした。行き先は江東区隅田川界隈に自転車で行くのは初めてである。
折よく清澄白河にある東京都現代美術館とタカイシイギャラリーで森山大道の写真展が開かれている。二つをまとめて見るのだ。その後、時間があれば、銀座のリングキューブでも森山の写真展をやっているので、そこにも寄ることにする。
東京の街を自転車で走るのは楽しい。人も車も信号も多いから、平均速度を稼ぐような走りをするのは難しいけれど、なんとなく走っていて気持ちがいい。緑が多いし、あちこちに大きな木のあるのも気持ちが和む。適度なアップダウンも走りのアクセントになって飽きさせない。

IMG_0353 IMG_0356

木場公園にある東京都現代美術館*1で「森山大道 ミゲル・リオ=ブランコ 写真展*2」を観る。森山がサンパウロを、ブランコが東京を撮っている。森山の写真はどれも巨大である。畳一畳ほどもある大きな写真が、びつしりと隙間なく張り巡らされており、あたかもめくりめく都市映像作品を見るような思いがする。近作のブエノスアイレスもハワイもいまひとつピンと来なかったのであるが、サンパウロの写真はどれも色気があっていい。いかがわしい気配のある街との相性がいいようだと考えるのは穿ちすぎか。一方、マグナムに所属するブランコの写真は生々しい触感にゾクゾクする。特にドロリとした色合いに魅力を感じた。展示室を幾度となく回遊してから常設展も見る。草間彌生奈良美智石川直樹ヤノベケンジらの作品に接し、望外の喜びに浸る。
夕焼けを見ながら、清洲橋のたもとにあるタカイシイギャラリー*3に移動する。以前から行ってみたいと思っていたところである。いまや日本の現代アートビジネスの中心地のひとつといっても過言ではないだろう。丸八倉庫という少々やぼったい感じの建物の中にとてもお洒落な造りのギャラリーがあった。ここで森山は「バイバイ ポラロイド*4」と題する個展を開いている。消えゆく運命のポラロイド写真へのオマージュを込め、東京の街を撮ったという。入り口から出口まで、ずらりと一列に整列したポラロイド写真が並ぶ。いったい何枚あるのか、まったくわからないほどの数である。その一本の線に導かれるように歩を進めていくと、連続していないはずの世界の断片がすべて何らかの意味を帯びてひと連なりにつながっているように思えてくる。頭の中にはコラージュされた東京の街がリアルに浮かび上がってくるような錯覚が起こる。圧巻。圧倒された。
IMG_0361 IMG_0365

森山の二つの写真展を見て、お腹がいっぱいになってしまった。銀座の方はまた日を改めることにした。今日の写真もiPhoneのProjectPolaroidで撮影した。清洲橋、タカイシイギャラリー前の工場、永代橋、国会議事堂。走行距離はたぶん50kmくらい。