ヒルトン+ジュンク

morio01012008-12-13

大阪でも東京でもお世話になりっぱなしのジュンク堂書店*1。大阪ではオープン当初に「日本最大級」を謳い文句にしていた堂島店をもっぱら利用している。ところが、先月、隣接するヒルトンプラザ店が増床し、規模で逆転したという*2。さっそく偵察してみた。
店内の造りは本好きにはすっかりおなじみのジュンク調であり、堂島も難波も新宿も池袋もほとんど雰囲気は変わらない。何が違うかと言えば、おそらくヒルトンの威光であろう、客層が重厚長大であることだ(!?)。「お上品オーラ」を発散している紳士淑女が優雅に本を眺めているところ、小汚い格好をしている私は、恥ずかしいというより申し訳ないという思いでいっぱいだった。
着倒れ方丈記 HAPPY VICTIMS文字のデザイン・書体のフシギ (神戸芸術工科大学レクチャーブックス…2)仕事絡みの本を中心に勢いにまかせてカゴに本を放り込む。東京まで運ぶのが大変なのに。娯楽のものでは都築響一着倒れ方丈記 HAPPY VICTIMS』(青幻社)を購った。これはファッション関係の物欲に取り憑かれてしまった人々の部屋を写すという、『流行通信』の連載企画を一冊にまとめたものである。
帯には「そんなに買って、着れるのか!*3」とあるが、もうそのまんまである。すごいの一言。ここに登場する人の気合いに比べれば、私の物欲など「屁の突っ張り*4」にもならない。よく知られている都築の『珍日本紀行』と同じく、ここでも現代人の抱える形而上の病理病巣をまざまざとえぐり出してみせる。それを深刻にではなく軽やかに滑稽に絡めとるから、じっと見ているうちに面白いはずのものがどんどん切なくなってくる。まさに「面白うてやがて哀しき物欲哉」と、つい偽芭蕉になってしまうほどに。深いです、物欲。サブタイトルの「Happy Victims(幸せな犠牲者)」が突き刺さる……。
祖父江慎、藤田重信、加島卓、鈴木広光の講演を収める『文字のデザイン・書体のフシギ』(左右社)も手に入れる。ブックデザインやフォントデザイン、タイポグラフィに関することなど、いずれも興味深い内容である。