漱石と食器棚

あの人の食器棚パッとしない天気ゆえ、家に引き籠もって過ごす。古井由吉漱石の漢詩を読む』(岩波書店)を読んだ。近代文学の高峰の知性を通して、日本語の問題に説き至る。単なる印象批評に過ぎない昨年のベストセラー日本語本*1より、圧倒的に深くかつ重い説得力を持った書だった。
息抜きに『あの人の食器棚』(新潮社)も眺める。各界の著名人の食器棚を見せてもらうという「芸術新潮」の連載を一書にまとめたものである。これが実に目の毒で、物欲が際限なく湧き上がってくる。本棚と同じく趣味や嗜好や教養が隠しようもなく現れている。
娘の合格祝いにかこつけて、少し大きな買い物をした。実は自分が一番喜んでいたりする。届くのは来週だ。猫と闘う。