世田谷で平泉を観る

世田谷美術館*1で開催中の特別展「平泉〜みちのくの浄土〜」を観てきた。平安時代末に奥州藤原氏によって独特の文化を育むことになった平泉の文化遺産を公開する。

本展では、「平泉の文化遺産」の名宝や歴史資料、出土資料など国宝・重文98点を含む200件を展示し、世界に例のない景観と名宝を残した「みちのくの都・平泉」の魅力を余すことなく紹介します。本展では、中尊寺金色堂内の「西北壇」上に安置される仏像11体(国宝)を、堂内の配置そのままに寺外で初めて公開します。(世田谷美術館HP紹介文)

東京国立博物館興福寺の阿修羅像を公開していることもあってか、驚くほどの混みようである。平日の午後遅くにでかけたため、入館待ちにはならなかったけれど、展示室では「わ、人だらけ」と思うほどの群れができあがっていた。入り口前には日よけのテントがずらりと並べられてあった。午前から昼の早い時間帯ではきっとあそこに並ばされているのだろう。世田谷美術館でこれなら、東博はいったいどういう惨状になっているのか。
ewIMG_0996平安時代から鎌倉時代にかけての仏像がたんと展示されていて、それらをうっとりと眺めているだけで幸せな気分になった*2。他にも国宝や重文があるのだけれども、ほとんど目に入ってこない。中尊寺の国宝11体の素晴らしさは言うにおよばず、それ以外の仏像の力強さや繊細さにも大いに感銘を受けた。それにしても増長天立像が「オーイエー! エレクトロワールド!」の決めポーズに見えてしょうがなかった。信心深くなくて申し訳ない思いがする。仏像を前にして(心の中で)深く頭を垂れる。
まもなく会期終了となる(19日まで)。ぜひ。
どうでもよい付記:平均年齢還暦オーバー間違いなしの会場内であった。それは別にどうということはない。ただマナー悪すぎ。割り込みや体当たり、携帯での無遠慮な写真撮影は当たり前である。展示物前のガラスに張り付いて声高に話し続ける紳士淑女も多数。人の足を踏んで逆に睨み付けてくるのもいる。どうも甘やかされて勘違いしている年寄りが多いように思う。何をやっても許されるとでも思っているのか。格段の敬老精神を持っているとは決して言わないけれど、常識をわきまえる程度には持ち合わせている自覚はある。でもこういう失礼千万な輩には吐き気を催す。せっかくいいものを観ても台無しである。心の中で(こればっかり)蹴りを入れた。ほんとにすると実名入りで新聞沙汰になるから……。

*1:http://www.setagayaartmuseum.or.jp/

*2:宗教的にではなく、綺麗なものとして