久々の川上弘美を噛み締める

真鶴 (文春文庫)初期の川上弘美の作品はたいてい好きである。『物語が、始まる』『神様』『蛇を踏む』『溺レる』などなど。子どもを折りたたんで箪笥にしまうとか、ちょっと不思議な感じがよい。ところが、『センセイの鞄』あたりからは手慣れた感のようなものが感じられてつまらなく思い始め、新作が出ても次第に手が伸びなくなってしまった。
少し前に文庫の新刊コーナーに並んでいた『真鶴』(新潮文庫)を手に取ると、三浦雅士が解説を書いているではないか。「時代の代表作」などと書いている。そこに興味があって、買ってみた。読んだ。おもしろい。幽霊の出てくるところがいい。そんなことを思っていたところ、今度は『ハヅキさんのこと』(講談社文庫)が出た。これは柴田元幸が解説を書いているではないか。「『ハヅキさんのこと』が雑誌に掲載されて初めて読んだとき、なんてすばらしい文章だろう、と思った」などと書いている。その惹句に引き寄せられて、やっぱり買ってしまう。一つ目の短編を読んだ。おもしろい。
どちらも別の人間が解説を書いていたらどうだったのだろう。少なくとも本業が何かわからないような人、あるいは「自称評論家」のような輩だったら、きっとパスしたと思う。なんにせよ、信頼している人が褒めていたら、そこは信じてしまいます。そういうことだ。
アップルからiMacを出荷*1したという連絡メールが届いた。週明けのお楽しみである。

*1:上海からやってくるらしい