84年ぶりのご開帳

morio01012009-11-13

大の苦手な早起きをし、西へ向かうのぞみの人になる。夕刻にどうしてもこなさなければならない役割があり、それならばその前に寄り道をしようということでこうなった。
京都で下車し、奈良線に乗り換える。黄檗駅でさらに京阪に乗り換えて、一駅先の三室戸で降りる。そこからは一キロほど歩く。着いたのは西国十番の三室戸寺*1である。
平安時代初期に創建されたこの寺の本尊千手観世音菩薩は、その様式から飛鳥仏と伝えられるものである。秘仏として公開されることがなく、普段は模作された御前立ちを拝することになっている。今回は実に大正以来84年ぶりのご開帳である。見逃すと、きっと次はもうない……。
紫陽花で有名な庭園、枯山水は紅葉の盛りを迎えていた*2。緩やかな坂道と少し険しい階段の先に本堂がある。駅からの道中にはほとんど参拝者らしき人の姿はなかったのに、ここまで来ると、けっこうな賑わいを見せている。山の中腹にあるので、きっと車で来る人が多いのだろう。
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本堂前で手を合わせて、内々陣へ進み入る。一尺二寸の金銅の観音菩薩が豪壮な祭壇の奥に立っている。うーむ、暗くてよく見えません。何しろ小さい。姿形そのものは御前立ちで確認できるものの、やはりありがたみが、ねぇ。じっと目を凝らしているとぼんやりとながら細部が見えてくる。服装に特徴があり、法隆寺の救世観音菩薩*3とよく似た形をしている。また両手で結ぶ印も他では見られない珍しいものであるという。それ以上はよくわからない。長く秘匿されてきたものゆえ、文化財としての指定は受けていない。
なんとなく消化不良気味な気分で本堂から出てくる。横手にある宝蔵庫に向かう。ここには平安時代の観音、勢至両菩薩や清涼寺の本尊を模刻した釈迦如来立像などが祀られている*4。ここのは明るくてよく見えます。観音と勢至は正座をしている。これも珍しいものであるそうな。京都の仏さんらしくすっきりとしたお顔立ちであった。
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記念にかぐや姫のストラップを購う。言うまでもなくかの姫君の名付け親が「三室戸の斎部のあきた」であったことに由来する縁起物だ。説明書きにはこのお守りを身につけると「良縁」に恵まれ、「可愛く人に愛される人」になるとある。かぐや姫は良縁には恵まれなかったけどな、などという罰当たりなことは言うまい*5
黄檗の万福寺へは立ち寄れず。またの機会に。

*1:三室戸寺 http://www.mimurotoji.com/

*2:針穴カメラは京都駅のロッカーに入れてしまった……

*3:これも秘仏。現在公開中。

*4:いずれも重要文化財

*5:言ってるけど