柿食えば鐘が鳴るなり

morio01012009-11-16

法隆寺*1秘仏中の秘仏を見に行く。夢殿にある救世観音像(飛鳥時代)である。
この仏像は明治になってからフェノロサ岡倉天心によって「再発見」されたものとして名高く、それまでは開くと畏るべき祟りや災いが起きるとして、長く秘匿されていたのであった。現在は春と秋のそれぞれ約一ヶ月間だけ一般に公開されている。聖徳太子の等身像とされるものであり、制作の事情や造りそのものに謎の多い仏像でもある*2
まずは金堂の釈迦如来薬師如来阿弥陀如来に挨拶(?)をし、五重塔と大講堂の仏様たちにも手を合わせていく。そして大宝蔵院で、百済観音*3を長々と見つめてうっとりし、夢違観音や橘夫人持仏、九面観音像などにしびれる。お決まりというか、お約束の流れである。さらに今秋の秘宝展*4も覗く。今回は法隆寺の寺僧たちに焦点を当てた展示がなされていた。資料や調度が多く、それまでに数々の国宝、名宝を見てきた目には少々地味めなものであった。もちろん内容そのものが悪かろうはずはない。念のため。
そしていよいよお目当ての仏像と対面すべく東院伽藍の夢殿へ足を運ぶ。
救世観音像は南面に安置されている。金網に張り付いて奥に立つ像を見る。が、暗い、暗すぎて、ほとんど見えない……。これは暗視スコープでもない限り、とうてい見ることはかなわない。それくらい暗い。もちろん秘仏であるという宗教上の理由や文化財の保護などの観点からこうしているのであろう、それは理解している。それにしてもあんまりな暗さである。ネットで以前の公開時の記事を読むと、かすかにライトアップされていたようなことが書いてあるものもある*5。それも今はとりやめているということだろうか。あの「気味の悪い微笑をたたえた面」や「エヴァそっくりの痩身その2」、「サンダーバード1号のような衣装の広がり」をぜひこの目で確かめたかったのに。
興味のある方はGoogleで調べてください。「救世観音 法隆寺」で画像検索すれば、山のようにヒットします。
先日の三室戸寺の時と同じような消化不良気味な気分を抱えながら、それでも愛する百済観音他の名仏像をたっぷり味わえたことで、総じていい気分になることができた、ということにしておこう。
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*1:法隆寺 http://www.horyuji.or.jp/

*2:頭に直接釘で光背を打ち付けている仏像なんてそうそうない

*3:エヴァ仏像です

*4:法隆寺秘宝展 http://www.horyuji.or.jp/hihouten1.htm

*5:仏像ガールが見た救世観音 http://www.buddha-girl.com/report/nara/post_10.html