二十四の瞳

二十四の瞳 デジタルリマスター2007 [DVD]最初から最後まで高峰秀子は泣いている。他人の泣き顔につられる人はハンカチ必須。
壺井栄の原作小説は遙か昔に読んだことがある。しかし、木下惠介監督の映画は未見だった。教師と教え子の物語ゆえ、子役の演技力が問題になる。こましゃくれたことをされると、一気に興が削がれるところ、この映画の子どもたちはみな不自然さや変な技巧がなくて、素直に感情移入ができる。
戦前から戦後までの約20年を2時間半に収めるため、やや説明不足で早回しのようなところがなきにしもあらずである。それでも描こうとするものが「筋」ではなく「心」であるから、大石先生と12人の子どもたちの関係性だけを味わえばよいと思った。見えにくい個々の生活や人生はこの際気にしないでおこう。1954年の作品。