太陽塔七景

Tower of the Sun大阪の千里丘陵で開催された日本万国博覧会。延べ6400万人の入場者を集めた国民的催事「エキスポ70」からちょうど40年が経った。広大な緑の丘に変貌した会場跡地に唯一残る「夢の跡」が、岡本太郎の手になる太陽の塔である。月の石も社会主義体制ももはやここにはない。
岡本は、メインテーマ「人類の進歩と調和」を徹底的に打ち破る「ベラボーなもの」として、強烈な存在感を持つ異形の塔をこの地に解き放った。国家的祭典の中心に置かれた反体制派は、一方でまた数千年前の土偶にも通じる正統性をも兼ね備えている。それだけが生き残っている現実は、我々に普遍とは何かを考えさせるであろう。揺るぎない明確な意志を持つものだけが時を生きる。
四季の移ろいの中で様々な表情を見せる太陽の塔は、私にとっての永遠のアイドルである。「過去」「現在」「未来」を表す三つの顔は、連綿と続く無限の時の流れを感じさせる。折に触れて針穴写真機とともに向き合ってきた太陽の塔は、幻想の「進歩と調和」の神話を暴き立てながら、これからも圧倒的な存在感で挑発し続けてくれるに違いない。

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明日から始まるTokyo Pinhole Todayで自分の写真につけたキャプションである。針穴女王*1には「漢字が多い」とダメ出しを喰らいました……。

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今週はお楽しみが多い。今日は『聖☆おにいさん』第5巻、26日に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 破」BR発売、そして28日にはiPadが届くことになっている。