8世紀から19世紀へ

morio01012010-07-24

今日もおやつ時くらいから美術館巡りをする。心持ち涼しくなった頃に人も少なくなるからちょうどいい。

日本でも有数の企業・財団が経営する私設美術館である。それでも三井家、石橋家の歴史のありかたから、得意とするジャンルにはかなり違いが見られる。初めて訪れる二つの美術館はともにたいへん立派で、予算に悩んでいるであろう公設の美術館、博物館とはまったく気配が違う*5
三井の「奈良の古寺と仏像」は、刮目して観るようなお宝はないものの、そつなく重文で固めたよい企画展だと思った。ほとんどの寺は、一番のお宝ではなく、三番四番五番手あたりを出張させている*6。しかし、関東でこれらをまとめて観ることができることがすばらしいのだ。今回の一番人気は法隆寺の夢違観音(国宝)だった。さもありなん。大半はお参りしたことのある仏様だったのだけれど、岡寺の愛らしい菩薩半跏像、アフロヘアが豪快な東大寺の五劫思惟阿弥陀如来坐像、切れ長の目がちょっと怖い橘寺の伝日羅立像、いかにも平安彫刻らしい優美な表現を持つ室生寺のイケメン釈迦如来坐像など、以前から観たかったものに初めて対面できたのが嬉しかった。9月までやっているので、古い物好きの方には見に行っていただきたい。
ブリヂストン美術館印象派展は、前日に鑑賞した国立新美術館のオルセーのより、ずっとよかった。なにより人が少なくて、落ち着いて作品を鑑賞できるということが大きい。展示されている作品も有名どころはないものの、印象派を語る上で欠かせない画家達の秀作をきちんと見せるようにしていた。やはりよいものは騒然とした雰囲気の中で観るべきではない。それに尽きる。モネ「黄昏、ヴェネツィア」、セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」、マティス「青い胴着の女」、ピカソ「腕を組んですわるサルタンバンク」、ルオー「裁判所のキリスト」などが強く印象に残った。
皇居で夕暮れの針穴写真を撮って、いい気分で帰ってきた。

*1:http://www.mitsui-museum.jp/

*2:http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

*3:http://www.bridgestone-museum.gr.jp/

*4:http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibit/index.php?id=79

*5:古くからある国立の重厚さは別にして

*6:今展の最初の巡回地新潟では、中宮寺弥勒菩薩が出ていた。この国宝は紛れもない超一級品である。