何年ぶりかのパソコン誌

flick!(フリック) (エイムック 2006)かつては月に何冊もマック系月刊誌を買っていた。発売日前日にわざわざ日本橋にまで車を飛ばして行っていたほどである。
それらから得た知識は以降の仕事(や趣味)で大いに役立ったのは言うまでもない。しかし、新しいものを追いかけることをだんだんとしなくなってきた頃から、その種の雑誌類も買うことをやめてしまった。もちろん買わなくなったのはそれだけが理由ではなく、読み物として楽しめなくなったことが大きかった。製品情報やレビュー、使いこなしといった内容が重視されるものだからか、それを伝える文章自体はあまり磨かれていないように感じられた*1。読ませる文章がないとつまらない*2
そういうわけで長らくこの種の雑誌や書籍からは離れてしまっていたのであるが、先日久しぶりに「flick!(フリック) (エイムック 2006)」というiPhone/iPad/Twitterを扱う新雑誌を買ってみた*3。まずまず興味を持って、最後まで読み通すことができた。
しかし、やっぱり酷い文章を書く人が少なからずいて、そこだけは辟易する。とりわけかなりの記事をものしている、それなりに名の知られている某IT系ライターの文章が酷い。さして目新しくもないことを得意になって語ったり、何の根拠もなく断定してみたり。さらに体言止めや「なのだ」「はず」「かもしれない」「しよう」というこの種の文章にお決まりの文句の多用、仲間内でしか通用しない呼びかけ、いいかげんな読点の付け方、意味が微妙にずれている不適切な語の選択など、あげつらえばいくらでも出てくる。編集や校閲担当は何も言わないのだろうか。仮にも文章をものして口を糊していながら、「紙の辞書はここ数年使っていない*4」と書くくらいだから、推して知るべし。いくら電子書籍の記事でもそれはないだろう。あ、もうやめとこ。もって他山の石としたい。
失礼の段、期待の高さゆえのこと、お許しいただきたい>誰に言う? 次号も手に入れたくなる内容と文章であることを願っている。

*1:もっと言えば悪文だらけ

*2:柴田文彦や川崎和男の文章は好きだった

*3:iPhoneiPadを取り上げる書籍もこれまでいっさい買わなかったのに手を出したのは、いささか自慢話めいて気が引けるけれど、ここに記事を書いている幾人かの人たちとはリアルな知り合いでもあるからだ。

*4:電子辞書に載っている辞典は一部を除きプロの文筆家には力不足である