一休探幽等伯

morio01012010-11-04

催事の続く職場に出かけても仕方がないので、さっさと大阪に戻ってくる。雪を頂く富士山が見事な姿を見せていた。
京都で降りていいものを拝みに行く。昨日から始まった「第46回京都非公開文化財特別公開」で、普段見ることのできない文化財に接することができる。目指したのは北大路周辺の名刹である。
後醍醐天皇に「本朝無双之禅苑」の宸翰を賜った大徳寺は、臨済宗大徳寺派大本山である。一休宗純*1が住持となっていたことでもよく知られている。今回の特別公開では本坊の方丈(国宝)に入ることができる。建物ももちろんいいのだが、ここの見所は襖絵だろう。八十四面すべてが狩野探幽の手になる。圧巻である。さらに国宝の唐門*2、玄関も素敵だし、特別名勝に指定される方丈庭園の枯山水*3もいい。
一つ目ですっかり満足しながら、すぐ隣の真珠庵に移動する。ここは大徳寺塔頭一休さんを開祖とする。もともとは一休の庵室跡である。さてこちらの見物もまた襖絵である。今春の長谷川等伯展にも出展されていた「商山四皓」があり、また曽我蛇足の「四季真山水図」もある。いずれも優れた水墨画である。博物館で美術品として鑑賞するのとは別の静謐や緊張感を感じることができる。アライグマに囓られたことがニュースになっていた「一休宗純禅師頂相」(室町・重文)もそのまま置かれていた。(笑)な感じで皆が通り過ぎていく。
さらに聚光院も公開されていたのだけれど、永徳の襖絵(国宝)はレプリカになっているとのことで、今日はパスした。やはり本物が見たい。
もう一カ所、大徳寺から南に十五分ほど歩いたところにある妙蓮寺に立ち寄る。ここでもお目当ての品は絵画である。長谷川派との関わりが深いこの寺は、等伯一派の数多の障壁画、襖絵、屏風を蔵している*4。現在は別に建造した収蔵庫にすべて収められており、このような機会でないと見ることができない。収蔵庫自体は見せることよりも保管することを旨とするような造りで、お世辞にも見やすい環境とは言えない。しかし、1メートルほどの距離で等伯らの筆遣いを間近に味わうことができる*5。松桜図や鉾杉図を堪能する。
三カ所めで時間切れになった。どこもよかった。唯一ひっかかるのは拝観料が一カ所につき800円と高額なこと。事情はわかるものの、もう少し見やすい設定にしてもらいたい。いつものことながら、ボランティアの地元の大学生たちがよく活躍している。説明が少々たどたどしいところがまた好ましい。

*1:一休さん

*2:聚楽第の遺構

*3:直線と曲線の妙

*4:全部で42面にわたる

*5:ガラス越しだけど