春樹の30年分を携えて帰阪

村上春樹 雑文集週末に高校の同窓会がある。区切りのよい年数で開かれた昨年の大きな会には出席できなくて残念に思っていたところ、今年もこじんまりと開くという連絡が届いた。帰れなくもないので、参加することにした。
エンドレス会議ではない会議を終えて、品川に向かう。金曜日夕方の新幹線はたいてい混み合っている。今日もまた。窓の外を眺めても、もはや暗闇である。
乗り込む前に手に入れた村上春樹の新刊『村上春樹 雑文集』(新潮社)をひたすら読み進める。1979年から2010年までの作家活動で、これまで未収録未発表だった小説以外の文章がまとめられている。目玉はやはり例のエルサレムで話をした「壁と卵」だろう。もはや30年になる村上の活動のほとんどをリアルタイムで追いかけてきた、その年月の長さと早さを静かに思い返す。
同窓会が懐かしくてたまらなくなるはずである。