青山で古筆切を見る

morio01012011-08-14

根津美術館*1は建物や庭がすばらしく、でかけること自体が楽しみである。強烈な夏の日差しを青山のお洒落な建物*2で避けながら、美術館を目指す。
8月14日まで開催されていた「古筆切 ともに楽しむために」では、この美術館が蔵する四十数点の古筆切を展示していた。古筆切とは、平安時代から鎌倉時代の名筆が、諸般の事情で一紙、一頁、数行に切断分割されたものを言うが、原本を傷つけたという側面と分割したからこそ残ったという側面があり、功罪相半ばするものである。もちろん総じて美術品、文化財としての価値は高い。丁寧に調べることで、中世から近世の頃の文化人の考え方がうかがえて、たいへん興味深いものである。
展示は古筆切自体の理解を深めてもらうよう、至れり尽くせりのキャプションがつけてあった。国宝級の珍しい切はなかったものの、よくまとめられていたと思う。人が少なくてゆっくり見られたのがとてもよかった。

*1:http://www.nezu-muse.or.jp/

*2:プラダのガラス張りの壁面はいつ見てもすごい