この林檎は初めて
椎名林檎とは誕生日が同じである。もちろん歳は違う。でもなんとなく一方的に親近感を覚えている。射手座万歳。
椎名林檎も東京事変もけっこう長く聴いているのに、なかなかライブに接する機会がなかった。チケット、取り忘れたり取れなかったりで。それが、またダメだろうと半ば諦め気分で申し込んでいた今回のツアーの追加公演に当選した。本公演分は全部撃沈していたので、欣喜雀躍する。12月の東京国際フォーラムは、1日と2日が東京事変、3日と4日が上原ひろみ、6日と7日がまた東京事変という「俺得」なスケジュールで、しかもそのうち三日間に行けるという幸運に恵まれたのだった。
当たり前のことながら、ももクロとも上原とも客層は違う。若い人、特に女性ファンが非常に目立つ。なにしろ館内の男子トイレが女子用に変更されるくらいである。こんなのは初めてだった。いつもの調子でふらふらと入りそうになって、慌てて引き返した。勘違いで捕まりたくはありません……。
東京国際フォーラムであまり音響が悪いと感じたことはなかったのだが、今日は音の解像感がほとんどなく、ボーカルもギターもベースも何もかも、ひとまとまりになってドカンドカンと響くだけだった。名手揃いなだけにそこはちと残念である。同じ会場で収録した前回公演のブルーレイはいい感じだったのになぁ。
ということで、黄色い大歓声と爆音の演奏に終始圧倒されていた。MCはほとんどなく、ひたすら演奏し続ける2時間だった。スクリーンと電飾をうまく使ったセットがすばらしい。もっともステージ上のメンバーと聴衆との間には、ちょっと不思議な距離感があるように感じた。「私たちは私たちでがんがんやるから、そっちはそっちで好きに楽しんでくれたらいい」とでも言わんばかりの疾走感と放置感がある。盛り上がってはいるのだけれど、会場全体が一体となってという感じでもない。もっともバラバラでぜんぜんダメだということではなく、きっとこれが彼らのスタイルなのであろう。
今日のところは生で椎名林檎を見られたことに満足しておこうと思う。亀田誠治、刄田綴色、浮雲、伊澤一葉ら男子メンバーたちも、それぞれの持ち味を発揮して楽しそうだった。楽しそうなのは何よりだ。次もうまく当たりますように。できれば別の会場で彼らの演奏を聴いてみたい。
セットリストは折り込んでいます。
東京事変 LIVE TOUR 2011 DISCOVERY
2011年12月6日 東京国際フォーラム ホールA
【本編】
- 天国へようこそ
- 空が鳴っている
- 風に肖って行け
- カーネーション
- 海底に巣くう男
- カリソメ乙女
- 禁じられた遊び
- 恐るべき大人達
- かつては男と女
- ハンサム過ぎて
- 秘密
- 某都民
- ドーパミント!
- 女の子は誰でも
- 歌舞伎
- ミラーボール
- 能動的三分間
- OSCA
- 絶対値対相対値
- 電波通信
- 電気のない都市
- 21世紀宇宙の子
- 閃光少女
【アンコール】
- 今夜はから騒ぎ
- 群青日和
- 新しい文明開化