非アイドルヲタクゆえ

S' Moriyama Daidoグッドモーニングビヨンド・スタンダード(初回限定盤)(DVD付)
吉田豪『元アイドル!』(新潮文庫)を購う。この本のことは奈良の亀仙人ことatcyさんのブログ*1で知った。正編と続編で紹介されている元アイドル達は、ほとんどが世間の一部の人しか知らないであろうB級C級のタレントである。私も大半が名前くらいしかわからない。それで、今回の文庫化にあたって、幾人かの記事が間引かれているということを教えてもらいつつも、それはたいした問題ではないと思うようになり*2、安価な文庫本を気楽に買い求めた次第である。もっとも間引かれている人がいる一方、掲載された人の取材後記がそれぞれに付されているので、文庫は文庫で存在価値があると言えようか。
最初の幾人かの記事を読み終えたところだが、各人の回顧的個人史というよりも、いいも悪いも含めてアイドルという職業の特性や役割を透かし見る思いがした。山口百恵松田聖子といった天下獲りに成功した超A級アイドルからは決して引き出せないであろう場末感とやさぐれ感が満載である。続編にはセイントフォーが取り上げられているので、こちらはぜひとも落とさずに文庫化してもらいたい。
本日の収穫祭のその他の獲物。最果タヒグッドモーニング』(思潮社)は昨年の中原中也賞を受賞した詩集で、ずっと品切れだった。私には難解すぎるけれど、読み解く楽しさは確かにある。宮下規久朗『刺青とヌードの美術史』(NHKブックス)は、負の領域の異端的存在に光を当てる、いわば裏美術史である。森山大道関係で二冊。一つは現在東京都写真美術館で開催中の森山大道展の公式論文集『森山大道論』(淡交社)、もう一つは野球場やサーキットなどの競技場(どれもこれも無人)をテーマにした大判の写真集「S' Moriyama Daido」である。あとはCD2枚。上原ひろみが初めてスタンダード作品に挑んだ「Beyond Standard」と、関口和之竹中直人・分山貴美子*3の「口笛とウクレレ2」を。

*1:http://atcy.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/2_2082.html

*2:抜けたって元々知らないから無問題

*3:口笛世界チャンピオン