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森山大道 NORTHERN札幌宮の森美術館*1で開催中の「森山大道写真展 北海道<序章>*2」(図書新聞)のための写真集が刊行された。森山が1978年に北海道で撮影したモノクロ写真を中心に組んでいる。
「アレ、ブレ、ボケ」でセンセーショナルに売り出した森山が、やがてスランプから活動停止状態となり、その後、闇の淵から舞い戻ってきた時期に撮影したのが、この書に収められている北海道の写真である。少し前に「Hokkaido」という大型の写真集が出たのだけれど、いかんせん高価*3なもので気軽に買うことはできなかった。紙質や印刷はどうしようもなく劣っているとしても『森山大道 NORTHERN』はDVDまでついてCD一枚分だからずいぶんがんばっている。
森山の写真はどこで撮っても森山節になるわけだが、それでも近年のハワイやアルゼンチンあたりで撮影してきたものよりも遙かに迫ってくるものを感じさせる。偶然その土地を選んだとしても、導かれる必然のあるなしが写真にも滲み出ているように思う。
bk1から森山のと一緒に届いたもの。仕事と趣味の境界線上のような本が多数あり。永田守弘『官能小説「絶頂」表現用語用例辞典 (河出i文庫)』は『官能小説用語表現辞典 (ちくま文庫)』と対をなすものである。どちらも人前では読めないし、人に読むことを強要すると、100%セクハラで訴えられる。『暁斎百鬼画談』(ちくま学芸文庫)は、グロかわいい河鍋暁斎の絵と解説が楽しめる。吉本隆明エヴァンゲリオン論が読める『吉本隆明 全マンガ論―表現としてのマンガ・アニメ』(小学館)や村上春樹のロングインタビューが掲載されている「monkey business」(ヴィレッジブックス)も。また積ん読の山を高くする。