美術

絵画の庭

昨日に引き続き中之島詣でをする。さっさと動いておれば、一日で片づいたものを……。 もともと吹田市の万博記念公園にあった国立国際美術館*1が、中之島の今の場所に移ったのは5年前のことだった。昨日から移転5周年を記念した「絵画の庭」という展覧会が催…

水玉とともに大阪

なかなか世田谷線の電車が来ないと思ったら、今日から世田谷ボロ市が始まっていたのだった。ようやくやって来た電車も「超」のつく満員状態で、乗車率100%オーバー間違いなしの混み具合である。それでも暢気に構えていては新幹線に乗り遅れるので、強引に隙…

土偶を楽しむ

東京国立博物館*1で開催中の「国宝土偶展」にでかけてきた。縄文時代に日本各地で作られた人型素焼き人形である土偶は、教科書や参考書、ガイドブックなどで馴染み深いものである。今回は国宝に指定されている3点が初めて勢揃いし、さらによく知られている…

鑑真和上の足跡を辿る

初詣は大阪天満宮と近所の神社ですませた。ついでに太陽の塔にもお参りした。残るは仏関係ということで、鑑真和上縁の奈良の諸寺を巡ることにした。 唐招提寺*1は2000年からの10年にわたる大修理を終えたばかりで、先年の11月に落慶法要を執り行った*2。昨夏…

柿食えば鐘が鳴るなり

法隆寺*1の秘仏中の秘仏を見に行く。夢殿にある救世観音像(飛鳥時代)である。 この仏像は明治になってからフェノロサと岡倉天心によって「再発見」されたものとして名高く、それまでは開くと畏るべき祟りや災いが起きるとして、長く秘匿されていたのであっ…

若冲ワンダーランド

かねて訪れてみたいと思っていた美術館がある。滋賀県山中の自然に寄り添うように佇むMIHO MUSEUMである*1。なにしろ桃源郷をテーマに設計された美術館である*2。なかなか行く機会がなかったのであるが、今秋の伊藤若冲の展覧会はどうしても見逃せない。いか…

上野徘徊

上野で開催されている二つの展覧会を見に行く。行楽シーズンの上野恩賜公園は遠足の子どもたちや秋を楽しむ人たちで大いに賑わっていた。水曜日だから、ちょっと不思議ではあるのだが。自分のことは棚上げです。 その1 冷泉家 王朝の和歌守展*1@東京都美術…

表参道から六本木へ美術館巡り

3年半ぶりに新装開館なった根津美術館*1に赴いた。表参道からみゆき通りを歩いて行くと、やがて隈研吾が手がけた瀟洒な建物が見えてくる。エントランスのところから雰囲気が抜群によくて、期待感はいや増すばかりである。はたして展示室もすばらしい造りで…

どうしても見たいもの

備忘録。全部行けるかなぁ。作戦を練らなきゃ。 10月22日〜11月23日 法隆寺「夢殿本尊秋季特別開扉」 済 10月24日〜11月12日 法華寺「本尊開扉」 済 10月1日〜11月30日 浄瑠璃寺「吉祥天立像」 10月17日〜11月23日 興福寺「お堂で見る阿修羅」 済 9月18日〜1…

世田谷あたりをポタる

自転車に乗る日にする。大阪に戻っている間、東京に残しておいたポケロケ。乗るのはおよそ一ヶ月半ぶりか。 しかし、いかんせん空模様がどんよりしすぎでいまいちである。走るだけモードになって、目黒、恵比寿、渋谷あたりをぐるりと一周して帰ってきた。外…

三面六臂に魂を抜かれる

上野に行く。先日書いた東京都美術館*1と東京国立博物館*2の催事を観るためである。いずれの展覧会も恐ろしいほどの混雑が予想されるから、午後の遅くから出かけることにした。 日本の美術館名品展 国宝阿修羅展 まずは東京都美術館に赴いた。日本全国の公立…

青森に行きたい

昨日買ってきた「美術手帖」を読んでいると、青森に行きたい気分が高まってきた。ユニークな美術館や博物館が数多く建てられていることをいくつかの雑誌で知り、以前からそれらを巡る自転車旅をしてみたいと思っていた。 青森県立美術館*1と十和田市現代美術…

世田谷で平泉を観る

世田谷美術館*1で開催中の特別展「平泉〜みちのくの浄土〜」を観てきた。平安時代末に奥州藤原氏によって独特の文化を育むことになった平泉の文化遺産を公開する。 本展では、「平泉の文化遺産」の名宝や歴史資料、出土資料など国宝・重文98点を含む200件を…

竹下通りからやなぎみわへ

中学生を原宿まで引率し、竹下通りでリリースする。とてもじゃないけど、あのカオスに身を投じる蛮勇はない。待ち合わせの時間まで2時間ほどあったので、東京都写真美術館*1で開催中のやなぎみわ*2の「マイ・グランドマザーズ*3」を観に行くことにする。 や…

月の桂離宮

正月に某国営放送局で桂離宮の特集番組を見た*1。ベテランアナウンサー*2の落ち着いた語り口(ちょっと芝居がかっているけど)に導かれて、近世の武家の世に王朝の美を再現しようとした公家の心意気や矜恃に感じ入った。日本庭園の最高傑作とも称される回遊…

山口晃を大山崎山荘で観る

ロケーションが抜群にいいアサヒビール大山崎山荘美術館*1で、山口晃が関西では初となる個展*2を開いているとあっては、見逃すわけにはいかない。浜松から大阪の自宅に戻る途中に立ち寄ることにした。 年内の公開は今日が最終日であったが、混み合うこともな…

静嘉堂で古伊万里

遅い朝に目覚めると快晴、だが寒い……。こんな天気のいい日に外に行かなくてどうするという声と、寒そうだから引き蘢ろうぜという声が、心内で激しく鬩ぎあう。朝(昼?)ご飯を食べたり、洗濯や掃除をしている間にも時間は刻々と過ぎていく。もはや遠出する…

ピカソでお腹いっぱいになる

国立新美術館とサントリー美術館で開催中の「巨匠ピカソ展*1」を観に行く。先週末で公開を終えた東京国立博物館の「大琳派展」は、結局ばたばたしているうちに観る機会を逃してしまった。とても悔しい。ピカソの方は月が変わるときっと入場者が爆発的に増え…

文字の力

京都文化博物館*1で開催中の石川九楊「源氏物語書巻五十五帖展*2」、結局行く機会を得ないまま、見送るしかなさそうである。残念に思っていたら、図録代わりの書『石川九楊 源氏物語書巻 五十五帖』(求龍堂)が刊行されているのを見つけた。嬉々としてレジ…

松井冬子の痛い絵

腹を裂き胎児のいる子宮を見せつけている女性、うつろな表情で口から内臓*1を垂れ流す女性、何かから懸命に逃げようとするものの犬や鳥に襲われてその身を喰い破られる女性、皮を剥ぎ取られた鶏を手に持つ下半身のない女性,内臓を衣服のように身に纏い、謎…

キャラ化する日本の巨匠

8日から東京国立博物館*1で始まった「対決 巨匠たちの日本美術*2」を観てきた。もう贅沢すぎてお腹いっぱいになるくらい盛りだくさんな展覧会だった。 たとえて言うなら、人気ミュージシャンが勢揃いした捨て曲なしのオムニバスベストアルバムという風情で…

細見美術館で若冲

大雨洪水警報を呼び込んだ夜半の雨はすさまじかった。どれほど降ったとしても、雨の音がはっきり五月蝿いと感じることはあまりない。しかし、昨夜はとにかく五月蝿かった。 その雨も朝には収まる。昼ご飯をとってから、ゆるりと京都に出向いた。開館十周年を…

液晶絵画

中之島の西の果てにある国立国際美術館*1に行ってきた。現代美術を中心に収集、展示するこの美術館では、「液晶絵画」と題する展覧会が開催中である。国内外の15人の作家が、文字通り「スクリーン」や「液晶パネル」をキャンバスに見立て、静止画と動画を先…

展示デザイナーという仕事

「情熱大陸」(TBS系)の木下史青の回を見た。たいへん興味深かった。木下は東京国立博物館*1に勤める展示デザイナーである。意外なことに専門の展示デザイナーを置くのは、東博だけであるらしい。 東博での展示方法で印象深かったのは、2年前の「プライス…

イリヤ・カバコフを堪能する

初夏を思わせる日差しの日曜日の朝、ロデオ*1を世田谷美術館*2@砧公園まで走らせる。ロデオ特有の「いつひっくりかえるかわからない」というスリリングな愉悦感がたまらない。ゆるゆるのろのろと走って、20分ほどで到着する。待ち合わせていたタコさん、ク…

会田のカオス

結局、17日まで練馬美術館でやっていた「山口晃展」に行けずじまいとなる。6月に上野の森美術館で開かれた山口と会田誠の展覧会も行けなかったし。 口惜しいから、高価ゆえ買うかどうか迷っていた会田の『MONUMENT FOR NOTHING』(グラフィック社)を注文し…

ありえない混雑

地下鉄今出川駅で降り、同志社大学沿いに歩いていくと、目的地はまだ先なのにもう大勢の人の気配がする。相国寺に近づくにつれてますます人口密度が高くなり、なんだか嫌なアナウンスも聞こえてくる。「ただいま入場待ち120分です」って! 入るだけに2時間…

風神雷神図屏風

日曜出勤。下半期は土日に出ないといけない仕事が目白押しで、嬉しいやら哀しいやら(違うか)。夕刻解放される。今日が最終日の「国宝風神雷神図屏風」を観るために、日比谷の出光美術館に向かった。最終日とはいえ、雨の日曜の遅い時間帯だからと高を括っ…